この早見表の使い方
「あの命令、書式なんだっけ」「この処理はどの命令でやるんだっけ」——ラダーを書いていると、命令を"逆引き"したくなる場面が必ず出てきます。このページはGX Works3(三菱電機iQ-Rシリーズ)でよく使うラダー命令を、カテゴリ別の早見表として1ページに集約したものです。公式マニュアルのように全命令を網羅する代わりに、現場で実際に使う命令だけを「一言で何をするか」「どれくらい使うか」つきで並べています。
- 命令欄の (P) = 立上りのみ実行するパルス実行形(例: MOVP)。P無しは条件ONの間、毎スキャン実行
- よく使う度 = ★★★:ほぼ毎日書く / ★★:定番。現場で普通に出てくる / ★:知っていれば読める(筆者の実務感覚による目安です)
- 深掘りが要る命令は「詳細」列から個別解説記事へ。罠・使い分け・実ラダー例はそちらで扱います
書式・動作の出典: MELSEC iQ-R プログラミングマニュアル(CPUユニット用命令/汎用FUN/汎用FB編)SH-081226。
| 命令 | オペランド | 一言用途 | よく使う度 | 詳細 |
LD / LDI | (s) 接点デバイス | a接点/b接点で回路を始める。すべての基本 | ★★★ | 解説 |
AND / ANI | (s) 接点デバイス | 接点の直列接続(AND条件) | ★★★ | 解説 |
OR / ORI | (s) 接点デバイス | 接点の並列接続(OR条件) | ★★★ | 解説 |
OUT | (d) 出力デバイス | 演算結果をコイル出力する | ★★★ | 解説 |
SET / RST | (d) 対象デバイス | ONを保持/解除。自己保持回路の代替。RSTはワードも0クリア可 | ★★★ | 解説 |
PLS / PLF | (d) 対象デバイス | 立上り/立下りで1スキャンだけON(ワンショット) | ★★★ | 解説 |
LDP / ANDP / ORP(LDF/ANDF/ORF) | (s) 接点デバイス | 立上り/立下りのパルス接点。PLS用の中継デバイスが不要になる | ★★ | 解説 |
INV | なし | 直前までの演算結果を反転(AND位置のみで使用可) | ★ | 解説 |
FF | (d) 対象デバイス | 実行のたびにON/OFF反転(トグルスイッチ回路) | ★ | 解説 |
| 命令 | オペランド | 一言用途 | よく使う度 | 詳細 |
OUT T | (d) タイマT / 設定値 0〜32767 | 100ms単位(既定)の基本タイマ。タイムアップでa接点導通 | ★★★ | 解説 |
OUTH T | (d) タイマT / 設定値 0〜32767 | 高速タイマ。0.01ms単位(既定10.0ms)の高分解能 | ★ | 解説 |
OUT ST / OUTH ST | (d) 積算タイマST / 設定値 0〜32767 | 積算タイマ。条件OFFでも現在値を保持(クリアはRST) | ★★ | 解説 |
OUT LT / OUT LST | (d) ロングタイマLT / 設定値 0〜4294967295 | 32bit・高分解能(既定0.001ms)のロングタイマ(LSTは積算) | ★★ | 解説 |
OUT C | (d) カウンタC / 設定値 0〜65535 | OFF→ON毎に+1する加算カウンタ。リセットはRST | ★★★ | 解説 |
OUT LC | (d) ロングカウンタLC | 32bit版の加算カウンタ。大きな数の積算カウント | ★ | — |
| 命令 | オペランド | 一言用途 | よく使う度 | 詳細 |
MOV(P) | (s)(d) BIN16 | 数値をデバイスに入れる基本転送。P無しは毎スキャン上書きに注意 | ★★★ | 解説 |
DMOV(P) | (s)(d) BIN32 | 32bit転送。D0指定でD0+D1の2ワードを消費 | ★★★ | 解説 |
FMOV(P) | (s)(d)(n) 点数0〜65535 | 同一値をn点に敷き詰め。エリア一括初期化の定番 | ★★ | 解説 |
BMOV(P) | (s)(d)(n) 点数0〜65535 | 連続n点のブロックコピー。レシピ展開・履歴退避 | ★★ | 解説 |
SWAP(P) | (d) 対象ワード | 上位/下位バイト入替え。通信データのバイトオーダー変換 | ★ | — |
XCH(P) | (d1)(d2) | 2つのデバイスの値を交換 | ★ | — |
| 命令 | オペランド | 一言用途 | よく使う度 | 詳細 |
LD= / AND= / OR=(=・<>・>・<・>=・<= の6種) | (s1)(s2) BIN16 | 比較結果をそのまま接点に。CMP不要で「D0が100以上なら」が書ける | ★★★ | 解説 |
LDD= / ANDD= / ORD= | (s1)(s2) BIN32 | 32bit版の比較接点(先頭にD)。ロングカウンタ等の判定 | ★★ | 解説 |
| 命令 | オペランド | 一言用途 | よく使う度 | 詳細 |
+ / - / * / /(P可) | (s1)(s2)(d) BIN16 | 16bit四則演算。乗算の結果は32bit・除算は商がd/余りがd+1 | ★★★ | 解説 |
D+ / D- / D* / D/(P可) | (s1)(s2)(d) BIN32 | 32bit四則演算(各デバイス2点使用) | ★★ | 解説 |
INC / DEC(P可) | (d) BIN16 | ±1演算。生産数カウントの定番(Pで1回ずつ) | ★★★ | 解説 |
DINC / DDEC | (d) BIN32 | 32bit版の±1演算 | ★ | 解説 |
| 命令 | オペランド | 一言用途 | よく使う度 | 詳細 |
BCD / BIN(P可) | (s)(d) 4桁 | BIN⇔BCD変換。7セグ表示器・サムホイール設定器との接続 | ★★ | 解説 |
DBCD / DBIN(P可) | (s)(d) 8桁 | BCD変換の32bit・8桁版 | ★ | 解説 |
INT2FLT / DINT2FLT(P可) | (s)(d) | 整数→単精度実数の変換。アナログ値のスケーリング計算 | ★★ | 解説 |
FLT2INT / FLT2DINT(P可) | (s)(d) | 単精度実数→整数の変換(四捨五入)。計算結果を整数に戻す | ★★ | 解説 |
| 命令 | オペランド | 一言用途 | よく使う度 | 詳細 |
BSET / BRST(P可) | (d)(n) ビット位置0〜15 | ワード内の指定ビットをON/OFF。Dレジスタをフラグ集合に使える | ★★ | 解説 |
BKRST(P可) | (d)(n) 点数 | ビットデバイスをn点一括リセット(タイマ・カウンタは現在値も0に)。初期化処理に多用 | ★★ | 解説 |
| 命令 | オペランド | 一言用途 | よく使う度 | 詳細 |
SFR / SFL(P可) | (d)(n) シフト数0〜15 | ワード内をnビット右/左シフト(空きは0埋め) | ★ | 解説 |
BSFR / BSFL(P可) | (d)(n) 点数 | ビット列を1ビットずつシフト。コンベアのワーク追跡(工程送り)の定番 | ★★ | 解説 |
DSFR / DSFL(P可) | (d)(n) 点数 | ワード列を1ワードずつシフト。FIFO・履歴バッファ | ★ | 解説 |
| 命令 | オペランド | 一言用途 | よく使う度 | 詳細 |
CJ / SCJ | (P) ポインタ | 条件ジャンプで処理をスキップ。飛ばした回路の保持動作に注意 | ★★ | 解説 |
CALL / RET(P可) | (P) ポインタ | サブルーチン呼出しで共通処理を再利用 | ★★ | 解説 |
FOR / NEXT / BREAK | (n) 回数 最大32767 | 繰り返し処理。回しすぎるとスキャンタイム増 | ★★ | 解説 |
FEND / END | なし | メインルーチン終了/プログラム終了。サブルーチンはFENDの後ろへ | ★★ | 解説 |
その他の命令(論理演算・文字列・時計)
| 命令 | オペランド | 一言用途 | よく使う度 | 詳細 |
WAND / WOR / WXOR / WXNR(P可) | (s1)(s2)(d) BIN16 | ワード論理演算。ビットマスク・フラグ操作(マスク値はH指定が読みやすい) | ★★ | 解説 |
LEN(P可) | (s)(d) | 文字列の文字数を取得(終端00Hまで) | ★ | 解説 |
TRD / TWR(P可) | 先頭デバイス(7ワード) | CPU内蔵時計の読出し/書込み(年月日時分秒曜日) | ★★ | 解説 |
よくある質問(FAQ)
Q1. GX Works3の命令一覧はどこで見られますか?このページはどう使えばいいですか?
A. このページがGX Works3(iQ-R)でよく使うラダー命令を、シーケンス・タイマ/カウンタ・データ転送・比較・算術・変換・ビット処理・シフト・フロー制御のカテゴリ別に並べた早見表です。命令ごとに「オペランド」「一言用途」「よく使う度」を載せているので、「この処理はどの命令でやるのか」を逆引きし、深掘りが要る命令は「詳細」列から個別解説記事へ進む、という使い方を想定しています。
Q2. 公式マニュアルとこの早見表はどう使い分ければいいですか?
A. この早見表は全命令を網羅する代わりに、現場で実際に使う命令だけを「一言で何をするか」つきで絞ったものです。書式や動作の正式な仕様はメーカーのプログラミングマニュアルが正なので、命令の当たりを付けるのはこのページ、オペランドの細かい条件や実機での動作を確定するのはマニュアル、という順番で使うと実務では速いです。
Q3. GX Works3で数値の比較はどの命令を使いますか?
A. 接点比較命令のLD=/AND=/OR=(16bit)と、LDD=/ANDD=/ORD=(32bit)です。等しい・等しくない・大なり・小なり・以上・以下の6種の比較をそのままa接点として書けるため、CMP命令で結果をビットに落とさなくても「D0が100以上なら」といった条件を接点1つで作れます。ロングカウンタのような32bitの値を判定するときは、先頭にDを付けた32bit版を使います。
Q4. GX Works3の「命令語」とは何ですか?
A. ラダーで処理内容を指定するLD・OUT・MOVのような命令の名前のことです。接点を置くLD/AND/OR、コイル出力のOUT、数値転送のMOVのように役割ごとに命令が分かれていて、末尾にPを付けると条件の立上りでだけ実行するパルス実行形(例: MOVP)になります。P無しは条件がONの間、毎スキャン実行されます。
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命令を1つずつ引くこの早見表は辞書として便利ですが、「どの命令をどう組み合わせて1つの制御を作るか」という設計の流れは、入門書を一冊通しで読むと一気に腹落ちします。ラダーを書き始めたFA若手が最初に手元へ置くならこのあたりが定番です。
書籍情報 最終更新: 2026-09-04(楽天ブックスAPI)