電圧降下は何パーセントまで許される?内線規程の基準をわかりやすく解説

結論:電圧降下は「〇%まで」と一言では決まらない

電圧降下は「何%までならOKですか?」とよく聞かれますが、 実は用途や設備によって考え方が変わります。

ただし、設計や施工の目安として使われる基準は存在します。

内線規程(1310-1)では何%まで?

低圧配線の電圧降下について、内線規程1310-1では次のように定めています。

  • 幹線・分岐回路それぞれ、標準電圧の2%以下
  • 電気使用場所内に設けた変圧器から供給する幹線は、3%以下
  • こう長(配線の長さ)が60mを超える場合は、こう長に応じた緩和がある(区分ごとの値は1310-1表)

内線規程は民間自主規格(JEAC 8001)で、法令そのものではなく「勧告」という位置づけです。 電気工事士試験で問われるのはこの「幹線・分岐それぞれ2%」の形が中心で、出題パターンは 電圧降下の計算問題の整理にまとめています。

実務でよく使われる用途別の目安

上の規程とは別に、現場では用途ごとに次のような数値が目安として使われることが多いです。 これは内線規程の数値ではなく、機器を確実に動かすための実務上の安全側の目安です。

電圧降下の許容値早見表。横軸0〜6%で、用途別に許容範囲を色分け表示。照明回路は2%まで推奨(緑)・2%超は赤NG。コンセントは2%推奨(緑)/2-3%許容(黄)/3%超NG(赤)。動力モーターは3%まで推奨(緑)/3-5%許容(黄)/5%超NG(赤)。下部に100V回路(5%=5V低下・許容範囲内)と24V回路(5%=1.2V低下・誤動作リスクあり)の比較カード、実務判断ポイント4項目、5%は万能ではないという警告。
図:用途別 許容電圧降下早見表+100V/24V電圧の影響度比較
  • 照明回路:おおむね 2%以内
  • コンセント・一般負荷:2〜3%以内
  • 動力回路(モーターなど):3〜5%以内

これらは「絶対に超えてはいけない値」というより、 トラブルを避けるための安全側の目安と考えると理解しやすいです。

なぜ電圧降下に目安があるのか

電圧降下が大きくなると、次のような問題が起こりやすくなります。

  • 照明が暗くなる
  • モーターが起動しない、力が出ない
  • 電子機器が誤動作する

特にモーターやインバータなどは、電圧が下がると電流が増え、 結果として発熱や故障の原因になることがあります。

「5%までOK」と言われる理由

電圧降下について調べると、「5%までなら問題ない」という表現をよく見かけます。

これは、電気設備の設計指針や実務経験上、 多くの機器が5%程度の電圧低下には耐えられることが理由です。

ただし、これは万能ではありません。

注意:低電圧回路ほど影響は大きい

同じ5%の電圧降下でも、電圧によって影響の大きさは変わります。

  • 100Vの5% → 5V低下
  • 24Vの5% → 約1.2V低下

24V回路では、わずか1V程度の低下でも センサやリレーが正常に動作しなくなることがあります。

現場ではどう判断する?

実務では、次のような考え方で判断されることが多いです。

  • メーカーの仕様(最低動作電圧)を確認する
  • 起動時電流が大きい機器は余裕を見る
  • 将来の負荷増加も考慮する

「基準以内だから大丈夫」ではなく、 その機器が問題なく動くかを基準に考えることが重要です。

だから電圧降下は計算して確認する

電圧降下は感覚では判断できません。

配線距離・電線サイズ・電流をもとに計算し、 許容範囲に収まっているかを確認する必要があります。

以下のツールを使えば、条件を入力するだけで 電圧降下を簡単に確認できます。

👉 電圧降下 計算ツールはこちら

👉 電気工事士の学科試験で電圧降下が出たら:計算問題の整理はこちら

よくある質問(FAQ)

Q1. 電圧降下の許容値は結局何%ですか?
A. 内線規程1310-1の基本は、幹線・分岐回路それぞれ標準電圧の2%以下です。電気使用場所内に設けた変圧器から供給する幹線は3%以下、こう長が60mを超える場合はこう長に応じた緩和があります。内線規程は民間自主規格(JEAC 8001)で法令ではなく勧告の位置づけですが、設計・施工や電気工事士試験ではこの「それぞれ2%」が基準になります。実務ではこれに加えて、用途に応じて2〜5%程度を目安に判断します。

Q2. 200V回路では電圧降下は何Vまで許容されますか?
A. 内線規程1310-1の基準は電圧の値ではなく標準電圧に対する割合で決まっているため、200V回路でも幹線・分岐回路それぞれ2%以下(構内の変圧器から供給する幹線は3%以下)が基本で、何Vまでかは「200Vの2%」として求めます。たとえば三相3線式・200V回路で電流20A・こう長50m・電線5.5mm²の場合、電圧降下は5.6V(2.8%)となり、2%を超えるため見直しが必要です。

Q3. ケーブル選定で電圧降下の許容値はどう使いますか?
A. ケーブル(電線)のサイズは、許容電流と電圧降下の両方で判定し、厳しい方を採用します。配線距離・電線サイズ・電流から電圧降下を計算し、標準電圧で割って%にしたうえで2%(場合により3%)の基準と突き合わせます。たとえば単相2線式・100V回路・電流10A・こう長20mでは、許容電流だけなら2.0mm²で足りますが、電圧降下では2.0mm²も3.5mm²も2%を超え、5.5mm²にして初めて基準内に収まります。距離が長い回路ほど、サイズを決めるのは電圧降下の方になります。

Q4. 動力回路(モーター)の電圧降下はどこまで許容されますか?
A. 内線規程1310-1の基準(幹線・分岐回路それぞれ2%以下)とは別に、実務では動力回路(モーターなど)はおおむね3〜5%以内が安全側の目安として使われます。電圧が下がるとモーターが起動しない・力が出ないだけでなく、電流が増えて発熱や故障の原因になることがあります。起動時電流が大きい機器は余裕を見て、メーカーの仕様(最低動作電圧)で問題なく動くかを基準に判断してください。

まとめ

内線規程1310-1の基本は幹線・分岐回路それぞれ2%以下(構内の変圧器からの幹線は3%)。 実務ではこれに加えて、用途や機器に応じて2〜5%程度を目安に判断します。

大切なのは数字を暗記することではなく、 「なぜその範囲に抑えるのか」を理解することです。

設計や施工の際は、必ず計算で確認するようにしましょう。