皮相電力・有効電力・無効電力の計算ツール|力率から相互変換【VA・W・var】

この計算ツールは「0回」利用されています。

このページは 皮相電力(VA)・有効電力(W)・無効電力(var)を相互に変換できる無料の計算ツール です。会員登録もログインも不要で、力率 cosθ とわかっている1つ(または2つ)の値を入れるだけで、残りの電力が出ます。「カタログは kVA なのに負荷は kW で書かれている」「力率改善の前後で無効電力がどれだけ減るか知りたい」といった場面で、電力の三角形をそのまま電卓にしたツールです。スマホからも使えるのでブックマーク推奨です。

📐 皮相電力・有効電力・無効電力の計算ツール

※ この計算結果はあくまで参考値です。力率の値は機器の銘板・メーカーのカタログで確認してください。

電力の三角形(皮相・有効・無効の関係)

交流回路の電力は3種類あり、3つは直角三角形の関係で結ばれています。皮相電力が斜辺、有効電力が底辺、無効電力が高さです。

  • 皮相電力(VA):電圧×電流の積。S = V × I
  • 有効電力(W):実際に仕事をする電力。P = V × I × cosθ
  • 無効電力(var):コイル・コンデンサと電源の間を行き来するだけで、消費されない電力。Q = V × I × sinθ

電圧や電流がわからなくても、3つの電力と力率の間には次の関係が成り立つので、この三角形だけで相互に変換できます。

  • S² = P² + Q²(三平方の定理)
  • cosθ = P ÷ S(力率=有効電力 ÷ 皮相電力)
  • sinθ = Q ÷ S = √(1 − cos²θ)(無効率。cos²θ + sin²θ = 1 から導ける)
  • tanθ = sinθ ÷ cosθ = Q ÷ P

本ツールの3つのタブは、このうちどれが手元にあるかで使い分けます。

  • 皮相電力から:S と cosθ → P = S × cosθ、Q = S × sinθ
  • 有効電力から:P と cosθ → S = P ÷ cosθ、Q = P × tanθ
  • PとQから:P と Q → S = √(P² + Q²)、cosθ = P ÷ S

力率の意味そのものや、学科試験での問われ方は力率と無効率の考え方(電気工事士学科)で整理しています。

計算例

例1:皮相電力と力率から、有効電力・無効電力を出す
皮相電力 S = 1,000VA、力率 cosθ = 0.8 の負荷の場合。
sinθ = √(1 − 0.8²) = √(1 − 0.64) = √0.36 = 0.6
P = S × cosθ = 1000 × 0.8 = 800W(0.80kW)
Q = S × sinθ = 1000 × 0.6 = 600var(0.60kvar)

同じ三角形は「有効電力から」タブでも成立します。P = 800W、cosθ = 0.8 を入れると、S = 800 ÷ 0.8 = 1,000VA、tanθ = 0.6 ÷ 0.8 = 0.75 より Q = 800 × 0.75 = 600var と、例1と同じ値に戻ります。

例2:有効電力と無効電力から、皮相電力・力率を出す
有効電力 P = 800W、無効電力 Q = 600var の負荷の場合。
S = √(P² + Q²) = √(800² + 600²) = √(640000 + 360000) = √1000000 = 1,000VA(1.00kVA)
cosθ = P ÷ S = 800 ÷ 1000 = 0.8

800・600・1000 は辺の比が 4:3:5 の直角三角形で、力率0.8 → 無効率0.6 の組み合わせになります。検算用の目安として覚えておくと、桁や単位を間違えたときに気づけます。

こんな場面で使える(活用シーン)

  • 受電容量(kVA)と負荷(kW)の読み替え:変圧器・UPS・発電機の容量は皮相電力(kVA)で表され、負荷側の消費電力は有効電力(kW)で書かれていることが多いです。kW = kVA × cosθ の関係で、同じ単位に直してから比べます。
  • 力率改善の前後比較の入口:現状の力率での無効電力Qと、目標の力率での無効電力Qを出して差を見れば、どれだけの無効電力を補償したいのかが数字で見えます。
  • 測定値のつじつま合わせ:電力計で読んだ W と、クランプメーターの電流から出した VA が合わないとき、その差が無効電力ぶんなのかを三角形で確認できます。
  • 学科試験の検算:皮相・有効・無効の3種類を行き来する問題で、手計算の答え合わせに使えます。

進相コンデンサの容量(kvar)そのものを求めるときは力率改善コンデンサ容量計算ツールが目的に合っています。電圧・電流から電力を出す段階なら電力(W)計算ツール、三相回路の電力・電流・力率の相互計算なら三相電力計算ツールをご利用ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 有効電力Pと無効電力Qは、足せば皮相電力Sになりますか?
A. なりません。PとQは位相が90度ずれているため、単純な足し算ではなく三平方の定理で合成します。S = √(P² + Q²) です。たとえば P = 800W、Q = 600var のとき、単純に足すと1,400になりますが、正しくは √(800² + 600²) = 1,000VA です。電力の三角形で斜辺にあたるのがSだと考えると取り違えにくくなります。

Q2. 力率が1のとき、無効電力はどうなりますか?
A. sinθ = √(1 − 1²) = 0 になるため、無効電力Qは0、皮相電力Sと有効電力Pが等しくなります(S = P)。電力の三角形がつぶれて高さのない1本の線になるイメージです。本ツールの「皮相電力から」タブに力率1を入れると、PがSと同じ値、Qが0と表示されます。

Q3. 遅れ力率と進み力率は、このツールではどう扱いますか?
A. 本ツールは力率cosθの大きさだけを使って計算するため、遅れ・進みの区別はしていません。遅れと進みは無効電力の向き(符号)の違いで、大きさ自体は Q = S × sinθ という同じ式で求まります。向きは負荷の種類で判断でき、モーターのような誘導性負荷は遅れ、コンデンサのような容量性負荷は進みになります。

Q4. 無効電力を小さくしたいときは、どの値を見ればよいですか?
A. 力率cosθを見ます。cosθが1に近づくと sinθ = √(1 − cos²θ) が小さくなるので、同じ有効電力Pに対する無効電力Qが減ります。改善の検討では、本ツールで現状の力率でのQと目標の力率でのQをそれぞれ出し、その差が補償したい無効電力になります。コンデンサ容量そのものの計算は力率改善コンデンサ容量計算ツールをご利用ください。

関連記事・関連ツール