電力(W)計算ツール|単相・三相の消費電力を無料で自動計算【電工対応】

この計算ツールは「2回」利用されています。

電圧(V)と電流(A)から電力(W)を自動計算できる無料ツールです。単相・三相の両方に対応しており、三相計算では力率も入力できます。電気工事士試験の計算練習、現場での設備容量確認、ブレーカーや配線サイズの選定前の概算など、幅広い場面でご活用いただけます。会員登録は不要、ブラウザのブックマーク登録推奨です。

🔋 電力(W)計算ツール

※この計算結果はあくまで参考値です。実際の施工・設計においては必ず専門家の確認を行ってください。

電力の計算式(単相・三相)

電力(W:ワット)は、電圧と電流の積で求められます。配線方式ごとの基本式は以下の通りです。

  • 単相:W = V × I(力率を含める場合は W = V × I × 力率)
  • 三相:W = √3 × V × I × 力率

各記号の意味は次の通りです。V は電圧(ボルト)、I は電流(アンペア)、力率 は cosθ(コサインシータ)で表される0〜1の値です。三相の式における V は線間電圧を指します。

本ツールの単相タブでは V × I のみで計算しています。これは力率1(抵抗負荷)を前提とした値、あるいは皮相電力(VA)に相当する値です。三相タブでは力率を入力できるため、有効電力(W)を直接算出できます。

配線方式ごとの式を一覧で

現場で出会う配線方式は4種類です。式が変わるのは√3が付くかどうかどの電圧を使うかだけなので、表で押さえておくと迷いません。

配線方式電力の式式に入れる電圧
直流(DC)W = V × Iそのままの電圧(力率という概念がない)
単相2線式W = V × I × 力率2線間の電圧(100V など)
単相3線式W = V × I × 力率使う負荷次第(下記参照)
三相3線式W = √3 × V × I × 力率線間電圧(200V など)

単相3線式でつまずきやすいところ

一般家庭や小規模設備でおなじみの単相3線式(100V/200V)は、三相ではないので√3は付きません。中性線を挟んで両側に100Vずつ、外側の2線間で200Vが取れる方式で、負荷のつなぎ方によって使う電圧が変わります。

  • 100V負荷(片側の相と中性線に接続):W = 100 × I。1,500Wの負荷なら電流は 1500 ÷ 100 = 15A
  • 200V負荷(外側2線に接続):W = 200 × I。2,000Wの負荷なら電流は 2000 ÷ 200 = 10A

同じ2,000Wでも100Vで使えば20A、200Vで使えば10Aと、必要な電流は半分になります。電圧を上げると電流が減るのは電線サイズやブレーカ容量に直結する話で、単相3線式で200V機器が推奨される理由でもあります。

有効電力・皮相電力・無効電力と力率

交流回路の電力には3つの種類があります。それぞれの違いを整理しておきます。

  • 有効電力 W(ワット):実際に仕事(モーターの回転、ヒーターの発熱など)に使われる電力です。電力料金の計算対象となるのはこの値です。
  • 皮相電力 VA(ボルトアンペア):電圧 × 電流で求められる、見かけ上の電力です。変圧器やUPSの容量表示に使われます。
  • 無効電力 var(バール):モーターのコイルやコンデンサなどで電流が流れるものの、仕事には変換されない電力です。

これら3つの関係は力率 = 有効電力(W)÷ 皮相電力(VA)で結ばれています。力率が1に近いほど、供給した電力の多くが有効に使われていることを意味します。

本ツールの単相タブは力率を入力しないため、計算結果は V × I すなわち皮相電力(VA)に相当する値です。抵抗負荷(電熱器、白熱灯など力率がほぼ1の機器)であれば、この値がそのまま有効電力(W)とみなせます。モーターなど力率が1未満の負荷を含む場合は、三相タブのように力率を掛ける必要がある点にご注意ください。

W・kW・VA・kVA・var・kWh の違いを整理する

似た単位が並ぶので、意味と使う場面で分けて覚えるのが早道です。

単位読み方意味主な使い道
W / kWワット/キロワット有効電力(実際に仕事をする電力)機器の消費電力・モーターの出力
VA / kVAボルトアンペア皮相電力(電圧×電流の見かけの電力)変圧器・UPS・発電機の容量
varバール無効電力(仕事にならない往復分)進相コンデンサの容量
kWhキロワットアワー電力量(電力 × 時間)電気料金・使用量の集計

とくに間違えやすいのがkW と kWhです。kWは「いま何W使っているか」という瞬間の勢い、kWhは「それを何時間続けたか」という積算量です。水にたとえると、kWが蛇口から出る勢い、kWhが溜まった水の量にあたります。

3つの電力の関係は直角三角形で表せます。皮相電力(VA)が斜辺、有効電力(W)が底辺、無効電力(var)が高さです。ここから 力率 = W ÷ VA、および VA² = W² + var² という関係が出てきます。

消費電力から電気代を計算する

「消費電力を計算したい」という目的が電気代の把握である場合、必要なのは電力(W)ではなく電力量(kWh)です。手順は2ステップだけです。

  1. kWhを出す:消費電力(W) × 使用時間(h) ÷ 1000 = 電力量(kWh)
  2. 料金を出す:電力量(kWh) × 電力量料金単価(円/kWh) = 電気代(円)

計算例:消費電力1,500Wの機器を1日8時間使う場合。
1500 × 8 ÷ 1000 = 12kWh。仮に単価を30円/kWhとすると、12 × 30 = 360円/日、30日で約10,800円という見積もりになります。

※単価は契約プランや燃料費調整額・再エネ賦課金によって変わります。実際の金額は検針票に記載された単価で計算してください。ここでは計算手順を示すために仮の単価を置いています。

なお電気料金の対象になるのは有効電力(W)の積算です。力率が悪い設備では、同じ仕事をするのに流れる電流だけが増えるため、電線や変圧器の負担は増えるのに料金は増えない、というねじれが起きます(高圧受電では力率割引・割増という形で料金に反映されます)。

モーターの「kW」は消費電力ではない

制御盤の設計で見落とされやすいのがここです。三相モーターの銘板に書かれている「3.7kW」は軸から取り出せる機械的な出力であって、そのモーターが電源から吸い込む電力ではありません。モーター内部の損失(銅損・鉄損・機械損)があるため、入力電力は出力より必ず大きくなります

関係を式にすると次のとおりです。

入力電力(W) = 出力(W) ÷ 効率
入力電流(A) = 入力電力(W) ÷ (√3 × 線間電圧 × 力率)

計算例:三相200V・3.7kWのモーターで、仮に効率85%・力率80%とすると──
入力電力 = 3700 ÷ 0.85 ≒ 4,353W
入力電流 = 4353 ÷ (1.732 × 200 × 0.8) ≒ 15.7A

ここで効率を掛け忘れ、出力3,700Wのまま電流を計算すると 13.4A となり、実際より約2.4A(15%)少なく見積もることになります。電線やサーマルリレーの選定では、この差がそのまま余裕の食いつぶしになります。

効率と力率はモーターの容量・極数・メーカーで変わるため、実務では必ずカタログの「全負荷電流」を使ってください。上の計算は、カタログが手元にないときの当たり付けと、値の妥当性チェックに使うものです。

電力から電流を逆算して機器を選ぶ

電力(W)が分かったあとの実務は、たいてい電流(A)に直して電線とブレーカを選ぶ作業に続きます。式を電流について解くだけです。

  • 単相:I = W ÷ (V × 力率)
  • 三相:I = W ÷ (√3 × V × 力率)

電流が出たら、その値を電線の許容電流と突き合わせます。ただし盤内はダクトに多数の電線を束ねるため、許容電流には電線数に応じた電流減少係数を掛けて評価する必要があります。サイズ別の許容電流は KIV・IV電線の許容電流一覧、電技解釈の数値のまとめは 低圧電気設備の技術基準・数値まとめ にあります。

もう一点、長い配線では許容電流より先に電圧降下で電線サイズが決まることがあります。とくにDC24V回路は元の電圧が低いぶん、同じ2Vの降下でも影響が桁違いに大きくなります。電圧降下計算ツール で確認しておくと安全です。

力率が低いと何が起きるか

力率の影響は、同じ有効電力を得るのに必要な電流を比べると一目で分かります。三相200Vで5kWの有効電力を得る場合の電流を、力率別に計算してみます。

力率必要な電流力率0.9のときとの比
0.916.0A1.00倍
0.818.0A1.13倍
0.624.1A1.50倍

力率が0.9から0.6に落ちるだけで、必要な電流は1.5倍になります。電線の発熱は電流の2乗に比例するので、損失は約2.25倍です。同じ仕事をしているのに、電線もブレーカも変圧器もワンランク大きいものが必要になる──これが力率を改善する動機です。

工場では進相コンデンサを負荷と並列に入れて、モーターが必要とする無効電力をコンデンサ側から供給させることで力率を改善します。

計算例

例1:単相の抵抗負荷 電圧100V、電流15Aの場合、
W = 100 × 15 = 1,500W です。電熱器や白熱灯は力率がほぼ1なので、この値がそのまま有効電力になります。

例2:三相のモーター負荷 線間電圧200V、電流20A、力率0.8の場合、
W = √3 × 200 × 20 × 0.8 で計算します。√3 ≒ 1.732 を使うと、
W ≒ 5,540W(約5.5kW)となります。

例3:容量(kVA)を求める 三相200V・30Aの盤に電源を用意する場合、変圧器やUPSの容量は皮相電力で考えます。
VA = √3 × 200 × 30 ≒ 10.4kVA。力率を掛けないのがポイントで、機器の容量は「実際に流れる電流」に耐えられる必要があるためです。

例4:電力から電流を逆算する 三相200V・力率0.85で、有効電力4,417Wの負荷が接続されている場合、
I = 4417 ÷ (1.732 × 200 × 0.85) ≒ 15A となります。

電力計算でよくある間違い

1. 単相の式に √3 を掛けてしまう

「200Vだから三相」と思い込むのが原因です。単相3線式の200Vは三相ではないので√3は付きません。√3が付くのは三相3線式だけ、と配線方式で判断してください。

2. 三相の式に相電圧を入れてしまう

三相の式に入れる V は線間電圧です。相電圧(線間電圧 ÷ √3)を入れると、答えが1/√3=約58%に小さく出ます。銘板や図面に「200V」とあれば通常は線間電圧です。

3. kW と kVA を同じものとして扱う

変圧器やUPSの容量はkVA(皮相電力)、機器の消費電力はkW(有効電力)です。力率0.8の設備を10kVAの変圧器で賄おうとすると、取り出せる有効電力は 10 × 0.8 = 8kWまでです。kVAをkWと読み替えると容量不足になります

4. モーターの出力kWをそのまま消費電力として足す

前述のとおり、銘板のkWは出力です。盤全体の必要容量を積算するときに出力のまま合計すると、効率のぶん(10〜20%程度)過小評価になります。

5. kWh を求めるときに1000で割り忘れる

W × 時間 で出るのはWh(ワットアワー)です。kWhにするにはさらに1000で割ります。1,500Wを8時間なら 12,000Wh = 12kWh。桁が1000倍ずれる典型的なミスです。

よくある質問(FAQ)

Q1. W(ワット)と VA(ボルトアンペア)は何が違いますか?
A. W(ワット)は実際に仕事に使われる有効電力、VA(ボルトアンペア)は電圧×電流で求めた見かけの電力(皮相電力)です。力率が1の抵抗負荷であれば W = VA ですが、モーターなど力率が1未満の負荷では W < VA になります。kW と kVA の関係も同じで、kW = kVA × 力率 です。

Q2. 力率はなぜ必要ですか?力率が低いとどうなりますか?
A. 力率は、供給された電力のうちどれだけが有効に使われているかを示す指標です。力率が低いと、同じ有効電力を得るためにより多くの電流が必要になります。その結果、配線やブレーカーの容量を大きく取る必要が出たり、電力会社から力率改善の要請を受けたりすることがあります。工場などでは進相コンデンサを設置して力率を改善するのが一般的です。

Q3. 三相の計算式に √3(約1.732)が付くのはなぜですか?
A. 三相交流では3つの相が120度ずつずれた位相で電力を供給しています。三相の計算式で使う電圧は「線間電圧」ですが、各相の電圧(相電圧)は線間電圧を √3 で割った値です。1相あたりの電力を3相分合計すると、結果として √3 × 線間電圧 × 電流 × 力率 という式になります。

Q4. 力率が分からないとき、どうすればよいですか?
A. 正確な値は機器のカタログ・銘板に記載されています。手元にない場合、電熱器・白熱灯などの抵抗負荷は力率1として扱って問題ありません。誘導電動機を含む場合は力率が1未満になりますが、値は容量や負荷率で変わるため、当たりを付けるための仮定値を使ったあと、必ずカタログ値で確認してください。インバータ駆動やスイッチング電源が混在する設備では、高調波の影響で単純な cosθ では表せない場合もあります。

Q5. 消費電力から1か月の電気代を計算するには?
A. 消費電力(W) × 1日の使用時間(h) × 使用日数 ÷ 1000 で電力量(kWh)を求め、契約の電力量料金単価(円/kWh)を掛けます。たとえば1,500Wを1日8時間・30日使うと 1500 × 8 × 30 ÷ 1000 = 360kWh です。単価は検針票で確認してください。

Q6. モーターの定格出力3.7kWは消費電力3.7kWという意味ですか?
A. 違います。3.7kWは軸から取り出せる機械的出力で、電源から吸い込む入力電力は損失のぶん大きくなります。入力電力 = 出力 ÷ 効率 で、効率85%なら約4.35kWです。設備容量を積算するときは入力側の値を使ってください。

Q7. 直流(DC24Vなど)の電力はどう計算しますか?
A. 直流には力率という概念がないため、単純に W = V × I です。DC24Vで2A流れていれば48Wになります。制御盤ではDC24V機器の合計消費電力からパワーサプライの容量を決めるので、この計算をよく使います。選定の考え方は パワーサプライとは? にまとめています。

Q8. 単相200Vと三相200Vでは、同じ電流でも電力が違うのですか?
A. 違います。三相は3本の電線で電力を送るぶん、同じ線間電圧・同じ電流でも単相の√3倍(約1.73倍)の電力を送れます。逆に言えば、同じ電力なら三相の方が電流が小さくて済むため、電線を細くできます。工場の動力設備が三相を使う理由のひとつです。