KIV・IV電線の許容電流一覧|サイズ別の代表値まとめ【制御盤設計向け】

制御盤内の配線でおなじみのKIV電線と、屋内配線で使われるIV電線。どちらも「サイズ別許容電流表」がネット上に出回っていますが、実はサイズによってKIVとIVは許容電流の値が一致しません。この記事ではKIVのメーカーカタログ値をベースに、IV等(電技解釈146条)の数値との違い、そして「1条配線」の値をそのまま盤内配線に使ってはいけない理由まで、まとめて整理しました。

KIVとは何か|どこに使う電線か

KIVは「600V電気機器用ビニル絶縁電線」の記号で、JIS C 3316に規定される電線です。定格電圧600V、耐熱性60℃、難燃性は傾斜難燃、絶縁材はPVC(ビニル)。カタログの用途欄には「交流600V以下の電気機器の配線や口出線に使用されています」とあり、特長として「耐油性、耐水性、耐熱性、可とう性、加工性に優れています」と記載されています。

KIVが可とう性(曲げやすさ)に優れているのは、太い1本の導体ではなく細い素線を多数より合わせた構造になっているためです。例えば0.5sqは0.18mmの素線を20本より合わせた構成、38sqは0.45mmの素線34本を7組より合わせた構成(7/34/0.45)になっています。細い素線を束ねているぶん、機器の口出線や可動部の配線でも取り回しやすいのが特徴です。

ちなみにKIVは、屋内配線でよく使われるIV線とは規格上の位置づけが異なります。IV線・VVFとの構造や用途の違いは 絶縁電線とは?IV線・VVFの違いと使い分けをわかりやすく解説【電工対応】 で基礎から解説しているので、あわせて確認しておくと後段の差分表が理解しやすくなります。

KIV許容電流一覧表(サイズ別・構造データ付き)

以下はKIV電線のメーカーカタログに掲載されている、サイズごとの構造値と許容電流の一覧です。許容電流の数値は従来どおり変更していません。今回、素線構成・導体外径・絶縁体厚さ・仕上外径・導体抵抗の列を追加し、ダクトや電線管の占積率検討にもそのまま使えるようにしています。

公称断面積(mm²) 素線構成(本/mm) 導体外径(mm) 絶縁体厚さ(mm) 仕上外径(mm) 導体抵抗20℃(Ω/km以下) 許容電流(A)
0.520/0.180.90.82.536.711
0.7530/0.181.10.82.724.414
1.2550/0.181.50.83.114.719
2.037/0.261.80.83.49.527
3.545/0.322.50.84.15.137
5.570/0.323.11.05.13.349
8.050/0.453.71.26.12.361
1488/0.454.91.47.71.388
227/20/0.457.01.610.20.84112
387/34/0.459.11.812.70.50156

「素線構成」の見方は、例えば1.25sqの「50/0.18」なら0.18mmの素線を50本より合わせたもの。22sq・38sqの「7/20/0.45」「7/34/0.45」は、複数本を束ねた小より線をさらに7組より合わせる二段構造(より線をより合わせる構成)で、太物サイズでも可とう性を保っています。仕上外径の列は、電線管やダクトに何本収めるかを検討するときの占積率計算にそのまま使える実データです。海外機器のケーブル仕様をmm²表記に置き換えたい場合は AWG↔mm²変換表【AWGとミリスケアの対応・換算早見表】 も参考にしてください。

この表の値は「1条配線」の値です

この許容電流表、実は使い方に注意が必要な一文がカタログに書かれています。

「許容電流は気中での周囲温度30℃以下での1条配線の値です。」

「1条配線」とは、電線1本を単独で、周囲に何も干渉するものがない気中に置いた状態のことです。ところが制御盤内の配線は、ダクトや電線管の中に何十本もの電線をまとめて収める形になります。電線同士が密着して熱を持ち合うため、1条配線の条件からは外れます。カタログの許容電流をそのまま盤内配線のサイズ根拠にすると、実際より過大に評価してしまうということです。

この「まとめて収めると許容電流が下がる」という考え方は、電技解釈146-4表に電流減少係数として規定されています。これは合成樹脂管・金属管・金属可とう電線管・金属線ぴなどに電線を収めて使用する場合に、146-1表・146-2表の許容電流(周囲温度による補正を行った値)へ、さらに乗じる係数です。

同一管内の電線数 電流減少係数
3以下0.70
40.63
5または60.56
7以上15以下0.49
16以上40以下0.43
41以上60以下0.39
61以上0.34

この電流減少係数は電技解釈146条の規定であり、対象は次章で説明するIV等の電線です。KIVに法令として直接適用されるものではありませんが、「電線を束ねれば許容電流は下がる」という考え方自体は同じです。KIVを盤内でまとめて配線する場合も、カタログの1条配線値をそのまま鵜呑みにせず、余裕を見て太めのサイズを選ぶ、あるいは配線本数・放熱条件を踏まえて検討するのが安全側の判断になります。

計算例をIVで示すと、次のようになります。

  • IV 2.0sq(27A)を同一管内に4本収める場合:27 × 0.63 = 17.01 → 17A(端数は慣行的に7捨8入)
  • IV 1.6mm単線(27A)を同一管内に3本以下で収める場合:27 × 0.70 = 18.9 → 19A(端数は慣行的に7捨8入)

なお端数処理の「7捨8入」は電技解釈の条文そのものではありません。条文が定めているのは「電流減少係数を乗じた値であること」までで、7捨8入は内線規程(JEAC 8001)に基づく実務慣行です。また、係数を適用する際の周囲温度の基準は30℃(146-3表 備考:30℃以下の場合は30として扱う)となっています。

KIVとIV、許容電流表は同じではない

ここからが本題です。電技解釈第146条第2項は、許容電流の対象となる電線を次のとおり限定列挙しています。

  • 600Vビニル絶縁電線(IV)
  • 600Vポリエチレン絶縁電線
  • 600Vふっ素樹脂絶縁電線
  • 600Vゴム絶縁電線

KIV(600V電気機器用ビニル絶縁電線・JIS C 3316)は、この列挙の中に含まれていません。つまり「KIVの許容電流は電技解釈146-2表による」という説明は誤りで、KIVの許容電流はあくまでメーカーカタログの値が根拠になります。まずは146-2表(より線・軟銅線)の数値を見てみましょう。

公称断面積の区分(mm²) 許容電流(A)
0.9以上 1.25未満17
1.25以上 2未満19
2以上 3.5未満27
3.5以上 5.5未満37
5.5以上 8未満49
8以上 14未満61
14以上 22未満88
22以上 30未満115
30以上 38未満139
38以上 50未満162

この表は範囲での区分である点に注意してください。「22sq」は〈22以上30未満〉の区分にあたるため115A、「38sq」は〈38以上50未満〉の区分にあたるため162Aになります。単線(軟銅線)の場合は146-1表が適用され、1.6以上2.0未満=27A、2.0以上2.6未満=35A、2.6以上3.2未満=48A、3.2以上4.0未満=62Aです。

このIV等の数値と、先ほどのKIVカタログ値を並べると、次のようになります。

公称断面積 KIV(カタログ) IV等(電技解釈146-2表)
1.2519A19A一致
2.027A27A一致
3.537A37A一致
5.549A49A一致
8.061A61A一致
1488A88A一致
22112A115AKIVが3A小さい
38156A162AKIVが6A小さい

8サイズ中6サイズは一致しますが、22sqと38sqだけKIVの方が数A小さくなります。「KIV・IV共通の許容電流表」として一括りにまとめているサイトも見かけますが、太物サイズを混同したまま使うと過大評価につながるので注意してください。また、0.5sq・0.75sqは電技解釈146-2表の適用範囲外(表は0.9mm²から)で、この2サイズについてはKIVのカタログ値にのみ数値があります。

サイズを決めるときに許容電流だけで決めない

許容電流の表でサイズの目星がついても、それだけで配線サイズを確定させるのは早計です。特に配線が長くなる幹線・分岐回路では、許容電流を満たしていても電圧降下が基準を超えてしまうことがあります。電圧降下の考え方や計算式は 電圧降下とは?原因・影響と対策|DC24V回路ほど効く理由【電気基礎】 にまとめているので、許容電流の確認とあわせてチェックしておくとサイズ選定の見落としを防げます。

実際の配線長・負荷電流・許容電圧降下率から必要なサイズを逆算したい場合は 電圧降下計算ツール【単相・三相対応】 を使うと、電卓での手計算より早く候補サイズを絞り込めます。

KIVの仕様(規格・定格・耐熱・難燃性・PSEマーク)

選定時に確認しておきたいKIVの基本仕様は次のとおりです。

項目
品名・記号KIV/600V電気機器用ビニル絶縁電線
規格JIS C 3316、PSEマーク
環境対応RoHS
定格電圧600V
耐熱性60℃
難燃性傾斜難燃
絶縁材PVC

PSEマーク表示については、0.5mm²のみ対象外という点に注意が必要です。0.5mm²の表示は「KIV 0.5mm2 KHD 西暦 LFV」のみで、PSEマークは入りません。それ以外のサイズは「KIV 断面積<PS>E JET KHD 西暦 LFV」という表示になります(<PS>E が電気用品安全法のPSEマークにあたる表示です)。図面や仕様書でPSE適合を確認する際、0.5mm²だけ表示形式が異なる点は見落としやすいので覚えておいてください。なお、ベース色とライン色の比率6:4で色分けした3本ライン入り品にも対応しています。

よくある質問

Q. KIVとIVの許容電流は同じですか?

A. 1.25sqから14sqまでは一致しますが、22sq・38sqではKIVの方が数A小さくなります。混同せず、上の差分表で確認してください。

Q. KIVの許容電流をそのまま盤内配線に使ってよいですか?

A. カタログ値は「気中・周囲温度30℃以下・1条配線」の条件付きです。ダクトや電線管にまとめて収める盤内配線では、この条件から外れるため、電流減少係数の考え方を踏まえて余裕を持ったサイズ選定を検討してください。

Q. KIVの0.5mm²にPSEマークはついていますか?

A. ついていません。0.5mm²のみPSEマーク表示の対象外で、「KIV 0.5mm2 KHD 西暦 LFV」という表示になります。

Q. サイズは許容電流表だけで決めてよいですか?

A. いいえ。配線が長くなる場合は許容電流を満たしていても電圧降下が基準を超えることがあるため、あわせて確認することをおすすめします。

まとめ

KIVの許容電流はメーカーカタログの値が根拠で、電技解釈146条の対象であるIV等とは根拠となる規定自体が異なります。8サイズ中6サイズは値が一致しますが、22sq・38sqはKIVの方が小さいため、サイズ表を混同しないことが重要です。またカタログの許容電流は「1条配線」の条件付きの値であり、ダクトや電線管にまとめて収める盤内配線ではそのまま使わず、余裕を見たサイズ選定を心がけてください。サイズを確定する最後のひと押しには、電圧降下の確認も忘れずに。