【第二種電気工事士】電気事業法・電工士法まとめ|学科法令の覚え方

はじめに

学科試験の法令分野は「条文を丸暗記する」方向で勉強すると時間を食います。試験で問われるのは条文の文言より、「この法律は何を決めているか」「誰が何をしてはいけないか」という構造の理解です。

この記事では、学科に出る主な電気関係法令の「地図」を整理します。細かい数値や条文番号は公式テキスト・過去問に任せ、ここでは骨格だけを押さえます。

主な法律の役割分担

電気工事士の試験に関わる法律はいくつかありますが、まず以下の3つの役割を区別できると整理しやすくなります。

学科で出てくる法令の役割分担:電気事業法(電気工作物の区分)・電気工事士法(誰が工事できるか/施行令の軽微な工事と施行規則の軽微な作業)・電気用品安全法(PSE)と、電気事業法に基づく電技省令。内線規程JEAC 8001は法令ではないことを明示
電気関係4法の体系と関係

電気事業法

電力の供給・電気設備の保安に関する基本法です。「一般用電気工作物」「自家用電気工作物」といった区分を定めており、どの設備に誰が関われるかの根拠になります。

試験では「一般用電気工作物とは何か」「自家用との違い」という形で問われることが多いです。

電気工事士法

電気工事士の資格と業務範囲を定めた法律です。「第一種と第二種で工事できる範囲がどう違うか」「無資格者が工事をしてはいけない範囲はどこか」が主な論点です。

試験では「第二種電気工事士でできる工事・できない工事」を問う選択肢が頻出です。

電気設備に関する技術基準を定める省令(電技)

電気設備の安全基準を定めた省令です。接地の種別・絶縁抵抗値・電線の太さなど、具体的な数値が出てきます。試験では数値を選ぶ問題として出ることがあります。

一般用電気工作物と自家用電気工作物

試験でよく出る区分です。

  • 一般用電気工作物:600V以下で受電する住宅・小規模店舗などの電気設備。第二種電気工事士が工事できる対象の中心
  • 自家用電気工作物:高圧(6600V等)で受電する工場・ビルなどの電気設備。最大電力500kW未満のものは第一種電気工事士が必要(認定電気工事従事者は、同じ自家用でも600V以下で使用する部分の簡易電気工事に限られる。電線路に係るものを除く)

「自家用に第二種で工事できるか?」→ 原則できない、という方向感を持っておくと選択肢を絞りやすいです。

軽微な工事の具体例(資格不要で可能な作業)

電気工事士法では「軽微な工事」として無資格でも実施できる作業が定められています。試験では「これは軽微な工事に該当するか?」という形で問われます。

作業内容 資格
露出型コンセント・露出型点滅器の取り換え 不要(施行規則 第2条の「軽微な作業」)
電球・ヒューズの取り替え 不要
小型変圧器(二次電圧36V以下)の二次側の配線工事(電鈴・インターホン・火災感知器・豆電球等) 不要
屋内配線の新設・変更 第二種以上必要
分電盤の取付・配線 第二種以上必要
接地工事(電気機械器具) 第二種以上必要

ここは用語が2つあり、学科でもよく狙われます。「軽微な工事」は電気工事士法施行令 第1条(そもそも電気工事に当たらない=上の表の6種類)、「軽微な作業」は施行規則 第2条(電気工事ではあるが無資格でもできる作業)です。施行規則 第2条は「次に掲げる作業以外」を軽微な作業とする除外リスト方式で、露出型点滅器・露出型コンセントの取り換えはその除外のさらに例外として明記されています(第1項第一号ホの括弧書き)。「配線にかかる作業は資格が必要・器具単体の取り換えは不要」というイメージで切り分けると覚えやすくなります。

第二種電気工事士でできる工事・できない工事

電気工事士法の観点から、試験で問われやすいポイントです。

  • できる:一般用電気工作物の電気工事(屋内配線・コンセント取付・分電盤工事など)
  • できない:自家用電気工作物の電気工事(高圧受電設備など)
  • 無資格でもできる範囲:露出型コンセント・露出型点滅器の取り換えは施行規則 第2条の「軽微な作業」、電圧600V以下で使用する電力量計やヒューズの取り付け・取り外しは施行令 第1条の「軽微な工事」。試験ではこの2つの切り分けが問われる

第一種・第二種・認定電気工事従事者の資格別工事範囲(早見表)

資格と工事範囲の関係はこの表で整理しておくと、選択肢を切り分けやすくなります。

対象設備 第二種電気工事士 第一種電気工事士 認定電気工事従事者
一般用電気工作物(600V以下) ○ ○ ×
自家用電気工作物(最大電力500kW未満) × ○ △(簡易電気工事のみ)
自家用 500kW以上 × × ×
ネオン工事 × 特種電気工事資格者の認定が必要 ×
非常用予備発電装置工事 × 特種電気工事資格者の認定が必要 ×

自家用電気工作物は規模(最大電力)で扱いが変わるのがポイントです。最大電力500kW以上の需要設備は、そもそも電気工事士法でいう「自家用電気工作物」から除かれており、電気工事士法の規制の対象外です(保安の監督は電気主任技術者の領域)。ネオン工事・非常用予備発電装置工事は「特種電気工事資格者」という別資格が必要で、第一種電気工事士の上にさらに専門資格が乗る構造になっています。

学科試験の代表例題(過去問形式)

法令分野の頻出パターンを3問にまとめました。試験本番では「区分」「資格範囲」「軽微な工事」の3点が繰り返し問われます。

例題1:一般用電気工作物に該当するものはどれか

問題:次のうち、一般用電気工作物に該当するものはどれか。

  1. 低圧(100V)で電力会社から受電する一般住宅
  2. 高圧(6600V)で受電する中規模工場
  3. 高圧で受電するコンビニエンスストア
  4. 特別高圧(22kV)で受電する大型商業施設

解答:1(低圧で受電する一般住宅)

解説:一般用電気工作物は「600V以下で受電する小規模な電気設備」と覚えます。高圧(6600V等)で受電する施設は規模に関わらず自家用電気工作物の扱いになるので、2〜4は自家用です。コンビニや小型店舗でも、高圧受電なら自家用に分類される点に注意してください。

例題2:第二種電気工事士ができない工事はどれか

問題:第二種電気工事士の資格でできない工事はどれか。

  1. 住宅の屋内配線の新設
  2. 住宅のコンセント取付
  3. 自家用電気工作物(高圧受電)の受電設備工事
  4. 住宅の分電盤取付

解答:3(自家用電気工作物の受電設備工事)

解説:第二種電気工事士の業務範囲は「一般用電気工作物の電気工事」に限られます。高圧受電を伴う自家用電気工作物の工事は、第一種電気工事士または認定電気工事従事者(簡易電気工事のみ)の範囲です。1・2・4は一般用電気工作物の工事なので、第二種の範囲内です。

例題3:無資格ではできない作業はどれか

問題:電気工事士の資格が無ければできないものはどれか。

  1. 露出型コンセントの取り替え
  2. 電球の交換
  3. 分電盤内の配線変更
  4. ヒューズの取り替え

解答:3(分電盤内の配線変更)

解説:分電盤の配線変更は、施行規則 第2条が挙げる「電線相互を接続する作業」「配線器具に電線を接続する作業」に当たるため、第二種電気工事士以上の資格が必要です。1は施行規則 第2条第1項第一号ホの括弧書きで名指しされた軽微な作業、4のヒューズの取り替えは施行令 第1条第三号の軽微な工事、2の電球交換はそもそも電気工事ではありません。1と4は根拠の条文も区分も違うので、まとめて「軽微な工事」と覚えないのがポイントです。

法令勉強のコツ

法令は暗記より「どの法律が何を担当しているか」の地図を先に持つと、過去問を解くときに問題の意味をつかみやすくなります。

数値(絶縁抵抗値・接地抵抗値など)は過去問で繰り返し出てくるものを押さえれば十分です。全条文を読み込もうとすると時間がかかる割に得点につながりにくいので、過去問ベースで「よく出る数値」だけ押さえる方針が現実的です。

→ 学科の過去問は何年分やればいい?回し方とメモの取り方

よくある質問(FAQ)

Q1. 電気事業法・電気工事士法・電技は、それぞれ何を定めた法律ですか?
A. 役割が分かれています。電気事業法は電力の供給・電気設備の保安に関する基本法で、「一般用電気工作物」「自家用電気工作物」といった区分を定めており、どの設備に誰が関われるかの根拠になります。電気工事士法は電気工事士の資格と業務範囲を定めた法律で、第一種と第二種で工事できる範囲がどう違うか、無資格者が工事をしてはいけない範囲はどこかが論点です。電気設備に関する技術基準を定める省令(電技)は電気設備の安全基準を定めた省令で、接地の種別・絶縁抵抗値・電線の太さなど具体的な数値が出てきます。「区分を決める法律」「誰が工事できるかを決める法律」「数値を決める省令」と役割で切り分けると、法令分野は整理しやすくなります。

Q2. 一般用電気工作物と自家用電気工作物は何が違うのですか?
A. 受電する電圧と設備の性格で分かれます。一般用電気工作物は600V以下で受電する住宅・小規模店舗などの電気設備で、第二種電気工事士が工事できる対象の中心です。自家用電気工作物は高圧(6600V等)で受電する工場・ビルなどの電気設備で、最大電力500kW未満のものは第一種電気工事士が必要になります。認定電気工事従事者は、同じ自家用でも600V以下で使用する部分の簡易電気工事に限られ、電線路に係るものは除かれます。コンビニや小型店舗のような小さな施設でも、高圧受電なら自家用に分類される点が試験で狙われます。

Q3. 第二種電気工事士でできる工事はどこまでですか?
A. 第二種電気工事士の業務範囲は、一般用電気工作物の電気工事です。住宅の屋内配線の新設・変更、コンセントの取付、分電盤の取付・配線、電気機械器具の接地工事などが入ります。資格別の早見表でいうと、一般用電気工作物(600V以下)は第二種でも第一種でも工事でき、認定電気工事従事者はこの範囲の対象外です。なお、露出型コンセント・露出型点滅器の取り換えは施行規則 第2条の「軽微な作業」、電圧600V以下で使用する電力量計やヒューズの取り付け・取り外しは施行令 第1条の「軽微な工事」にあたり、資格が無くても行えます。学科ではこの2つの切り分けが問われます。

Q4. 第二種電気工事士でできない工事にはどんなものがありますか?
A. 自家用電気工作物の電気工事(高圧受電設備など)は第二種の範囲外です。最大電力500kW未満の自家用は第一種電気工事士、または認定電気工事従事者の簡易電気工事の範囲になります。最大電力500kW以上の需要設備は、そもそも電気工事士法でいう「自家用電気工作物」から除かれており、電気工事士法の規制の対象外です(保安の監督は電気主任技術者の領域)。ネオン工事と非常用予備発電装置工事は「特種電気工事資格者」の認定が要る別枠で、第二種の資格では従事できません。「自家用に第二種で工事できるか」は原則できない、という方向感を持っておくと選択肢を絞りやすくなります。

まとめ

  • 電気事業法:電気設備の区分(一般用・自家用)を定める
  • 電気工事士法:誰がどの工事をできるかを定める
  • 電技(技術基準):安全の具体的数値を定める
  • 試験対策は「地図」を先に持ち、数値は過去問で補う

→ 低圧配線方式(単相2線式〜三相4線式)を押さえる

→ 電気設備の技術基準:学科で出る数値の探し方

→ 接地の種別と目的:A種・B種・C種・D種の違い

→ 第二種電気工事士の学科試験とは?出題分野・合格の目安・試験時間を整理